『古事記』から学ぶおおすみ歴史講座


  第4回 大国主神               (H27.8.16)

※オオクニヌシを主人公とする「出雲神話」は日本書紀本文にはない。或る書に曰くとして第6番目の異書に<オオクニヌシ・オオモノヌシ・オオナムチ・アシハラシコヲ・ヤチホコ・ウツシクニタマの多数の名を持ち、スクナヒコナと一緒になって国造りをした>という内容がコンパクトに纏められているだけである。

概     要 備  考

稲羽の
素兎
 兄弟の八十神が稲羽(いなば)の国の八上比売を妻にしようと出掛けるとき、オオクニヌシは皆の袋を背負い、最後に付いて行った。
 気多岬でオオクニヌシは赤裸で泣いている兎を見つけ、理由を聞いたところ隠岐の島から気多に渡る時にワニ(鮫)をだましたのでワニが怒り、毛皮をはぎ取られたが、八十神の言うとおり海水を浴びて乾かしたら酷いことになった―と泣きながら言った。
 オオクニヌシに真水で体を洗い、蒲の穂の上に寝転べば治ると言われ、その通りにしたところ首尾よく完治した。そこで兎は感謝をし、ヤカミヒメはオオクニヌシの物になると予言した。
・八上比売…ヤカミヒメ。鳥取市の南部に接した「八頭郡」のヒメ。

八十神の
迫害
 ヤカミヒメが兎の予言通りオオクニヌシの妻になる―と言ったので八十神は怒り、オオクニヌシを亡き者にしようと伯耆国では山中で猪に見せかけた焼石をオオクニヌシに抱かせて殺した。だが、オオクニヌシの母のサシクニワカヒメが天上に上がってカミムスビに頼んでキサガイヒメウムギヒメを遣わしてもらい、一命を取り留めた。 ・キサガイヒメ…赤貝の精
・ウムギヒメ…ハマグリの精
※昔、ハマグリの貝に入った軟膏があり、できものに効果があった。

根の国
訪問
 八十神はまた一計を案じてオオクニヌシを山に連れ出し、大木の切り株に挟んで殺した。だが、また母に救われる。母は八十神と一緒だといつ殺されるか分からないので紀国の大屋毘古(オオヤビコ)のもとに遣った。八十神が紀の国まで追いかけて来たのでオオヤビコは根の国のスサノヲを頼って行けば何とかしてくれるだろう―と今度は根の国へ行くように指示される。
 根の国でオオクニヌシはスサノヲから様々な試練を受け、そのたびにスサノヲの娘のスセリビメの機転で救われる。オオクニヌシはスサノヲから最後に「ウツシクニタマとなって娘を正妻とし、ウカの山麓に大宮殿を建てて住むように」と言われ、スサノヲから盗んだ<生太刀・生弓矢>と<天詔琴>とを用いて天下を平らげ、初めて国を造った。
・根の国…スサノヲの母イザナミが死んで葬られた国。黄泉国。
・ウツシクニタマ…宇都志国玉。「宇都」は「ウト」ではなく「ウツ」と読むのが正しい。「ウツ」とは現実であり、すべてが整っているという意味。つまり、この世の一切を治める王者になれということ。

沼河比売
へ求婚
 この八千矛(ヤチホコ)神が高志(越)の沼河比売を妻にしようと出掛けて行った。
 ヌナカワヒメの家の戸を叩くが、ヒメは最初の夜は入れなかった。しかし次の夜に来たときは許した。
・八千矛…ヤチホコ。オオクニヌシの異名。オオクニヌシには5つの異名があるがこれは武力統治時代の名であろう。

須勢理毘売
の嫉妬
 スセリビメは嫉妬深かったが、夫のオオクニヌシが倭国に出掛けるときに妻を若草に喩えた歌を詠んだところ、機嫌を直し、返し歌をする時に酒を酌み交わして二人の変わらぬ真心を確かめ合った。

大国主の
神裔
 【オオクニヌシの子孫】
2代目 アジスキタカヒコネ(母:タキリビメ=宗像女神)
     コトシロヌシ(母:カムヤタテヒメ)
     トリナルミ(母:トリミミ)
3代目 クニオシトミ(父:トリナルミ)
4代目 タケサハヤジヌミ(父:クニオシトミ)
5代目 ミカヌシヒコ(父:タケサハヤジヌミ)
6代目 タヒリキシマルミ(父:ミカヌシヒコ)
7代目 ミロナミ(父:タヒリキシマルミ)
8代目 ヌノオシトミトリナルミ(父:ミロナミ)
9代目 アメノヒバラオオシナドミ(父:ヌノオシトミトリナルミ)
10代目 トホツヤマサキタラシ(父:アメノヒバラオオシナドミ)
・須佐之男から数えて17代目が左の10代目トホツヤマサキタラシである。
※天孫降臨はオオクニヌシとその子のアジスキタカヒコネ・コトシロヌシの時代であるから左の後裔は天孫降臨後に服従したあとの「葦原中国」王家の系図ということになる。

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